『長距離走者の孤独』 (新潮文庫 アラン・シリトー著) をご存知でしょうか。
まず、古い本を馬鹿にしてはいけないのです。
若い人や今の人の一部は、「そんな昔の本なんて読めない、意味がわからない」というかもしれません。
なるほど。
震災前やコロナウィルスの前とで、我々日本人の価値観は変わったという人もいるでしょう。
しかし、人間がどう生きていこうかと考えるのは、今も昔も同じ。源氏物語では、1,000年も昔の人の恋する気持ちは現代人とさほど変わらず、むしろ憧れたい気持ちにもなるはずです。
さて本書は、1970年代初めの頃に書かれた名著です。
苦しい生い立ちに生まれた青年スミスが、クロスカントリーの競技で頭角を現します。しかし、あと少しというところで自らの名誉を破壊していく。そうすることで周囲への復讐を果たしていくわけです。
「どのみちおれは始終走っているんだ」
マラソンのことに始まり、自分の人生をどのように走ることが自分の意思だと言えるのか——自らの道を駆け抜ける彼の悲哀たるや……
英米文学志望者、必読です。



