1.わかりやすい情報の危うさ
らくがき帳を『フラッシュ紙芝居』(暗記紙フリップ)として使用してから、10年くらい経ちます。
『フラッシュ紙芝居』とは、フリージア特産の暗唱特訓、一問一答形式の学習法の1つです。
フラッシュ暗算やフラッシュ暗記ならぬ、フラッシュ紙芝居。
出題するものは——四字熟語、ことわざ、部首名、和語、英単語、穴埋め英文、英検級別問題、歴史の出来事、社会の頻出用語、などなど…
しかも、「全部言えるまで帰れま10! 間違えたら始めに戻ってやり直し!」なのです。
大変なのは必死に覚える子どもたちなのか、それともフラッシュ紙芝居をめくっている先生なのか?(笑)
ですがそこには、まるでゲーム感覚のように暗唱を楽しんでいる子どもたちの姿があります。
このフラッシュ紙芝居の特徴は、短時間でくり返したり、早いテンポで行うので、処理能力の速度がアップしたり、記憶定着の向上など、教育や記憶の分野で「効果がある」とされている要素がたくさんあるのです。
『フラッシュ紙芝居』の内容については、大事なポイントも合わせてこのあとお話いたしますが、まずは、なぜそのアナログ的な方法を始めたのか、少しだけ解説いたします。
フラッシュ紙芝居を始めた当初は、パワーポイントで社会の歴史の流れや図の解説の中で、『暗記穴埋めコーナー』として盛り込んでいました。
まだパワーポイントが世の中に多く出回っていて、まるで “できる社会人” のプレゼンテーションで使う代名詞存在で、作り方・見せ方をずいぶんと研究したものです。
たしかに、見やすくて引き込まれる。
けれども、テスト前などの授業で使うと……「残らない」
生徒の頭に残らないのです。
見やすいように写真や図をアニメーションを駆使しても、いや、それどころか工夫すればするほど記憶に残らず、瞬間記憶でその場しのぎになるというジレンマに陥ったのであります。
では、なぜ今「らくがき帳」でアナログの紙芝居、なのか。
理由は、「らくがき帳」にはパソコンもコンセントもいらないので、災害で停電になってしまった時も使うことができるからです。
いやいやそれは半分冗談ですが…
でも本当に、パソコンとプロジェクター、そしてスクリーンの設置は大変なのです。
それでも効果が上がれば少しも苦労を厭わないのですが。
このアニメーションのような画像は、いわゆるデジタル情報のシャワーなワケですね。
おそらく今、スマホのSNSで流れるたくさんの情報も、これに近いのではないでしょうか。
その場では画面に食い入るものの、次の日には忘れている……という。
「らくがき帳」の紙芝居には、手書きの不規則な画像、つまり “ゆらぎ” が見る生徒に何かを訴えているのかもしれません。
2.フラッシュ紙芝居の狙いとは
さて、冒頭でお話した『フラッシュ紙芝居』ですが、どうやら手書きの不規則な画像によるゆらぎが、ある効果を高めているようなのです。
「何度も覚えたはずなのに、テストになると出てこない…」
そんなお悩みをよくいただきます。
実は、「覚えること」と「思い出せること」は別の力です。
多くのお子さんが「覚えたつもり」で止まってしまっているのです。
●「覚えきる経験」が自信になる
フラッシュ紙芝居の最大の特徴は、「全部言えるまで終わらない」ことです。
途中でやめないからこそ、「自分は最後までやりきれた」という成功体験を積み重ねていきます。
暗記が苦手な子ほど、この体験が大きな自信になります。
“できた!” の積み重ねが、その後の学習意欲を大きく変えていきます。
●テストで「思い出せる力」がつく
ただ覚えるだけでなく、「瞬時に引き出す力」が身につくのが特徴です。
フラッシュ形式でくり返すことで、「見たらすぐ出てくる」「聞かれたらすぐ答えられる」状態をつくります。
これは、定期テストや入試で非常に重要な力です。
「覚えたのに思い出せない…」を防ぎます。
●「やり直しルール」が記憶を強くする
途中で間違えたら最初からやり直し。
一見厳しく見えますが、ここに大きな意味があります。
人は「間違えた直後」にやり直すことで、記憶が強く定着します。
中途半端な理解のまま進まないからこそ、「本当に覚える」ことができます。
●集中力が一気に高まる
フラッシュ紙芝居はテンポよく進むため、自然と集中力が高まります。
「次は何が出る?」
「間違えたら最初から…!」
この適度な緊張感が、普段なかなか集中できない子でも短時間でぐっと集中できる状態を作ります。
●「覚え方」そのものが身につく
フラッシュ紙芝居をくり返し行うことで、くり返せば覚えられる、声に出すと定着する、といった「正しい暗記の覚え方」が体でわかるようになります。
・短時間でくり返す(=反復)
・テンポが速い(=処理速度アップ)
・間違えたらやり直し(=定着強化)
・全部言えるまで終わらない(=達成体験)
・声に出す(=記憶定着)
といった要素が備わっており、この積み重ねが大きな差を生み出します。
これは、他の教科にも応用できる一生モノの力です。
『フラッシュ紙芝居』は、ただの暗記練習ではありません。
「できるまでやる」「やればできる」を実感できる特訓でもあるのです。
それがきっと、生Live(授業)の中で効果を発揮している——と信じて、今日もことわざの暗記です。

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