今回のオススメ読書本は、『アジアンタムブルー』
大崎善生著(2002年・角川書店出版)。
誰だってお父さんやお母さんになる前には、きっと「自分」という人間を見つめる、妙に憂うつな時間があるものです。
人間は弱い、そして、あやふやな存在。
もしも大切な人、大切な価値観を失ったら、人はどう生きていけばいいのだろう。
実は誰もが多かれ少なかれ繊細なハートの持ち主なのではないでしょうか。
観葉植物の中でも人気のアジアンタム。温度、水、光、どれ1つでも整わないと葉が縮れてすぐに枯れてしまいます。そんな繊細な鉢植えなので、アジアンタムはちょっぴり “上級者向け” の管理をするのが難しい植物というわけです。
さて、大崎善生の大ファンである、私。実はこの作家の生活の描き方がとても好きなのです。
『磨かれたように輝く水の中で泳ぐ熱帯魚』
『デパートの屋上で煙草をふかしながら亡き妻に思いを馳せる毎日』
どれもすごく知的でおしゃれな表現にあふれています。
きっと作者の描く「ディスカスという熱帯魚」「アジアンタム」「ライムポトス」こそが彼であり、生きることがあやふやだけど、それが美しい。
1980年頃の「ポリス」というロックバンドをカセットに吹き込んで、日曜の午後を妻となる女性とともにパスタを買いに行く。そんな日常の描き方が、当時平成の大人(若者)の指標となっていた気もします。
文学、特にアメリカ現代文学に興味のある方は、ぜひオススメです。
2006年には映画化もされています。



