校長コラム

Column

~情けは人の為ならず~

情けは人の為ならず 校長コラム

“情けは人の為ならず” という言葉。

ごく一部の方は、
「人に情けをかけると、その人が甘えてしまうから良くない」
と誤用するらしいですが、テレビやネットで情報が氾濫した現在では、もうあまり誤用する人は少ないと思います。

かく言う私も、実は最近まで誤用しておりました(汗)。

しかし、上記のような誤解ではなく、
「情けは人の為ではなく、自分のためだ」
のような使い方をしているらしいのです。

具体例でいえば、
「生徒を叱るのは生徒のためではなく、自分が叱ることで自分のイライラを解消したい」
のような時です。

ダメですね。完全な間違い。

正しくは、
「人に情けをかけるのは、他人のみならず巡り巡って自分によいことが返ってくる」
(コラムの最後に「情けは人の為ならず」のことわざの解説を載せてあります)

つまり、自己も他者も “ウィン・ウィン” のいいコトづくし。

けれどもそんな計算をして、人は人に親切にするでしょうか。
見返りの期待か、無償の愛か。どっちが多いのか。

子どものために洗濯の山を片付ける。
みんなの元気な笑顔を見るためにおいしい料理を作る。
家族への無償の愛には、見返りも何もないのかもしれません。

おわかりのとおり、この格言は
「気づけば、結果として自分のためになっている」
ということに重きをおいているのでしょう。

1つの行動でさえChat-GPTに頼る世の中。

打算的でなく、直感で人に親切にしているAさんを見て、
「あんな風になりたいけど……」
と傍観しながらも尊敬できる程度の人でよい気もします。

【情けは人の為ならず】(解説)

「情けは人の為ならず」は、日本語のことわざの中でも誤解されやすい表現の一つです。
ここでは、文法的に分析して考えてみましょう。すると、本来の意味がはっきりと見えてくるのです。

●文の構造
「情けは人の為ならず」は、次のように分析できます。
・情け:名詞(思いやり・親切心)
・は:係助詞(主題を示す)
・人の為:名詞句(他人のため)
・なら:断定の助動詞「なり」の未然形
・ず:打消しの助動詞(~ではない)

●文法的なポイント
重要なのは「ならず」の部分です。
・「なら」=「である」の未然形
・「ず」=打消し(~ない)
つまり、「人の為ならず」は「人のためではない」という意味になります。

●直訳
文全体をそのまま訳すと
「情けは(単に)人のためではない」
となります。

●本来の意味
この文は、
「人に親切にすることは、その人のためだけで終わるものではなく、やがて自分にも返ってくる」
という意味を持ちます。つまり、
「人にかけた情けは、巡り巡って自分のためになる」
という教えです。

●誤用に注意!
先ほどもお話しましたとおり誤用する人も少なくなりましたが、確認のためにお話しますね。
よくある誤解として
×「情けは人の為にならない(だから親切にするな)」
という意味で使われることもありますが、これは文法的にも誤りです。
「ならず」は「ならない」ではなく、あくまで「~ではない」という打消しであり、否定している対象は「人の為」そのものです。

文法からも意味を正しく理解すると、ことわざの本質がぐっとわかりやすくなります。
ぜひ学習の中でも活用してみてくださいね。

タイトルとURLをコピーしました