「納豆ください」
「今はダメです」
『本末転倒』——それは、当初の目的がだんだんとそれを達成するための手段やプロセスにすり替わっていくこと。
よく聞いたことがあるような言葉ですが、いざ日常に置き換えると意外と思いつかなかったりするものです。
私がこの言葉を聞いて思いつくのが、仕事上の接客です。
夕刻、生徒さんが塾の入り口に入ってきてもパソコン作業でパソコンを見つめながら「ちわー」とだけ声をかける先生。
たしかに生徒さん、特に男子生徒さんに多いのですが、疲れてても疲れてなくても暗ーく入ってくる生徒さんは多いのです。
「構わないで」オーラが出まくっていたとしても、やはり先生には元気に声かけして絡んでほしいのです。
ウザがられても塾は生徒さんと向き合うのがお仕事。ところがどうしたのだろう、この先生の目的はいつしか上層部への報告書、保護者の方へのご連絡、もしくはこの生徒さんへの教材づくりでパソコンに勤しんでいたとしたら……
これは “本末転倒” ではないでしょうか。
会社だって、そんな社員に給与は払いたくないかもしれません。
果たして、これは塾の先生だけなのでしょうか。
最近私が時々残念に思うのは、スーパーの品出しをしているごく一部のパートの方。
混雑した店内で、どこのお客さんも「納豆1パック・2パックを買いたい」と納豆と豆腐のコーナーへ近づくものの、そこには品出しのため懸命に倉庫から取り出した納豆の陳列作業にずっと夢中。
その方には、周りで「納豆が取りたいけれど、店員さんのせいで手が届かないんだよなぁ……」という冷ややかな視線も何のその。
いや、おそらく店員さんもその視線には気づいているのでしょうか。
「私には私のやるべきことがある」
品出しを遂行することだけに夢中になって、スーパーのお客さんへ納豆を買ってもらうという本来の目的は、その方にとってはなくなってしまっているのかもしれません。
誰に向けて仕事をするか、誰を見て働いているか。
それは、一見して当たり前にわかっていること、と思いがちですが意外とそうでもない方もいらっしゃるようです。
さて、思いつきましたか? 本末転倒な周りの大人は……!?



